人工知能とバーチャルリアリティ – Google IOより

Kazu Shimura

Kazu Shimura

志村一隆

 年一回のカンファレンス”Google IO”でGoogleが面白い新サービスをいろいろ発表した。先月はFacebookが同様のカンファレンスを開催したが、今月はGoogle。今回も動画で中継されていたので、それを見て考えたことをまとめてみたい。自分が面白いと思ったのは、次の2つである。①人工知能とそれを使ったチャットアプリの展開、②VR(バーチャルリアリティ)の取組。

 ①人工知能とチャットアプリ – 会話を先取りして返答案を3つくらい用意してくれる。例えば、「今から帰ります」というメッセージが来たとしよう。すると、「迎えいる?」「ご飯いる?」「風呂沸いてます」といった返事案が表示される。「寿司食べたい」とくれば、近所の寿司屋さんが表示され、そのまま予約できる。

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右下の2つ楕円が人工知能が表示した返答案

 ②VR(バーチャルリアリティ) – 今秋グーグルのVRエコシステム”Daydream”に対応したスマホが売り出されるそうだ。また、任天堂Wiiのコントローラのようなものとセットになったバーチャルリアリティ視聴機器も発売される。VRコンテンツは、IMAXや新聞社、映画スタジオ、それにスポーツ団体と提携している。

右下がVRコンテンツを操作するコントローラー

右下がVRコンテンツを操作するコントローラー

 

IT化とは脳と文字の退化?

 

 メッセンジャーの自動応答システムは、果たして「便利」なのだろうか。社内で使う分には余計な気を使わずいいかも。それに「これだよ!オレが言いたかったのは」ってことを人工知能が教えてくれるのかもしれない。ただ、どんどん脳が退化し、さらに人工知能=機械に頼ってしまうってことになるんだろうが。

 こうした個々人の会話のデータは、これから様々なマーケティングに使われるだろう。それもモノを売るだけならまだいいが、政治・外交に使われたらどうなるか。世論をある方向に導くことも可能になるだろう。

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 もうひとつ、Google HOMEという声だけで操作できる家電製品も発表された。声で操作すると、リモコンのボタンが必要なくなる。関口宏さんが4月号コラム「凋落」で書いた「リモコンの場所」が無い。地下鉄で中国の人たちが、何か検索してるとき、スマホに声で話しかけているのを見かけるが、これから声のコミュニケーションが少し復活するのかもしれない。

 今までIT化は効率化であり、それが資本主義と上手く結びついて大きく発展してきた。もともと用件を伝えるのは電話じゃなくチャットになっている職場も多いだろう。それを便利にするのが自動応答なんだろうが、なんだかITの世界で考える「便利」さを突き詰めると、息苦しい気がしてきた。

Googleの人工知能は、「人」「場所」「モノ」のデータを集め、理解し、人間をアシストする

Googleの人工知能は、「人」「場所」「モノ」のデータを集め、理解し、人間をアシストする

(参考)
 先日発表されたFacebookの未来戦略でも、人工知能、VR(バーチャルリアリティ)が挙げられていた。また、自動応答するボットメッセンジャーを自動応答電話でに変わる企業と消費者のコミュニケーションに使うサービスが発表されていた。その時書いた記事はコチラ