新年メディア日記(2019年1月1日〜15日)放送記者出身者

 (この日記は報道に携わった経験のある人が個人的に付けているものです。新聞・テレビ・ネットというジャーナリズムの世界の変容を、日々の報道を追うことによってウォッチしようという試みです。毎月、前半と後半の二回に分けて記録しています。普段は非公開ですが、平成最後の2019年、メディアは新しい年の幕開けを、どのように報じたのか、のぞかせてもらいました。=君和田 正夫)

1.1
 元日恒例の朝刊スクープ合戦は、1日深夜にNHKニュースが速報した「新元号4月1日公表」のスクープで大きく変わった。これを最終版1面に突っ込んだのは、毎日新聞、日経新聞、産経新聞の3紙。朝日新聞1面トップは「昭和天皇直筆原稿見つかる」。
 読売新聞は「日本政府は中国警戒、インフラ機密 日本国内サーバーに保管を」、東京新聞は「五輪渋滞ナンバー規制案 IOCが対策指示」。
 朝日は、12月29日朝刊で、5月1日に施行される新元号について、「4月1日公表」とは断定しなかったが、「政府は改元1カ月前に閣議決定する方向で最終調整に入った」と報じた。読売は12月29日朝刊1面に、「4月中旬を軸に新元号を公表する方向」と大きく報じたが、元旦紙面ではすでに報じた情報を修正しなかった。
 琉球新報は元日付1面に「沖縄フェイクを追う ネットに潜む闇」という通しタイトルで連載を開始した。同紙は、「インターネットの普及やSNS利用者の拡大で情報は身近なものになったが、情報に紛れたフェイク(嘘)やヘイト(憎悪)も大量に拡散され、個人を傷つけ、民主主義を破壊している」として、フェイクニュースの発信者を具体的に追うとしている。初回の見出しは、「沖縄県知事選に誰が偽情報流した? 2サイトに同一人物の名前」。意欲的なテーマだ。期待しよう。

 2019年はメディアにとって、テレビの場合は若者のテレビ離れ、インターネットの追い上げ、視聴率の総体的低下など課題は多い。現役の新聞記者からは「新聞業界とっては値上げで頭を悩ます一年になる。読売に続いて、どこが値上げするのかが業界の最大関心事」と新年のメールが来た。

 毎年恒例のウィーンフイルの「2019ニューイヤーコンサート」をNHKが1日午後7時から3時間にわたって生中継した。今年の番組の呼び物は、演奏もさることながら、指揮者カラヤンやボスコフスキー時代からコンサートマスターを長く務めてきたライナー・キュッヘルが夫人(日本人)と一緒に会場外の特設会場から中継に参加したことだ。キュッヘルは司会者の日本語をほとんど理解し、彼のドイツ語を真知子夫人が通訳した。演奏休憩中は、バイオリン奏者の楽団長フォロシャウワ―も参加。片言の日本語で「そだね・・」などとサービスした。
 今回の指揮者は、ドイツの正統派でヨーロッパを中心に大活躍中のクリスティアン・ティーレマンが満を持しての初登場。近年のニューイヤーコンサートがお祭り的の雰囲気の多い中で、演奏はスケール感ときめ細かさのバランスが見事で、ティ―レマンの矜持に例年になく楽しめた。

1.2
 ビデオリサーチ社2日の発表によると、大みそかに放送されたNHK紅白歌合戦の第二部(午後9時から11時間45分)の関東地区平均視聴率は41.5%。前年に比べ2.1ポイント増。なお、前半部分の第一部は、37.7%。(いずれも関東地区)

 日本テレビは2日、2018年の年間視聴率が全日帯(午前6時~午前0時)、ゴールデン帯(午後7~10時)、プライム帯(午後7~11)の三つの時間帯で、在京民放5社のトップになる「三冠王になった」と発表した。日テレの三冠王は5年連続。全日帯は、テレビ朝日が一時期、日本テレビを追い抜いたが、最終的には0.2ポイントの僅差で日本テレビだった。
 
 百田尚樹は2日のツイッターに「左翼本はなぜ売れないか」とツイートした。
「保守の本は売れても左翼の本は売れない。理由は、左翼は本を読まないから。それはなぜか? 実は日本人であれば、いろんな本を読んで知識を得ると、自然に政治思想は左翼から保守に変わる。つまり左翼の多くは読書から取り残された人たちなのである。 さらにテレビばかり見るから余計に左翼になる」。
 さらに同日のもう一つのツイッター・・・。
 「何が紀伊國屋書店の不買運動だ! 左翼連中なんて、もともと本なんか読まないじゃないか!(読めない?) その証拠に、左翼やリベラルの本なんか少しも売れない。テレビに出て偉そうに喋っている左翼コメンテーターが本を出しても全然売れない!! 不買運動を言う前に、少しは本を買ったらどうか」。

 公明党の山口那津男代表は2日、東京・JR新宿駅前での新年恒例の街頭演説で国会運営に言及し、「数の力で一辺倒に押し切るような運営は厳に慎まないといけない」とのべた。(毎日新聞が報道) 公明党は、これまで数々の悪法案を自民党とグルになって強行採決してきたではないか。今頃になって数の力を自省したのは、今後の地方選、参院選への影響を考えたに間違いない。実に姑息な発言だ。

1.3
 読売新聞は3日朝刊1面左に「新元号公表4月1日 準備期間を確保 政府方針」と見出しを打ち、「安倍首相が4日の年頭記者会見で正式に発表する見通し」と報じた。同紙は3面に、同紙がすでに報道した「4月中旬」ではなく、「4月1日」に決定した背景を解説した。
 同紙によると、衛藤晟一前首相補佐官に代表される保守派は、「5月1日の新天皇による政令の公布によってはじめて公表されるべきだ」と最後まで強く訴えたという。天皇一代に元号一つを定める「一世一元」制を守るには、新天皇がみずから新元号を公布しなければいけないからだ。これに対して、安倍首相は最後まで悩んだという。その背中を押したのは、自らも事前公表に否定的な麻生副総理だったという。
 
 筆者は、テレビ放送に従事した一人として、最近のドローンによる空撮映像の驚くべき進化は目を見張るものがあると常々感じている。
 NHKは3日19時半から「北アルプス大縦走~白銀の峰々へ~」と題し、ドローンカメラによる誰もが見たことがない初冬ならではの北アルプスの美しさに迫った。ヘリコプターでは撮影できない朝日に染まる峰々や細やかな神秘的な霧氷など見事な映像を次々に放送した。これが4Kとか8Kの映像になると思うとため息が出る。出演は山岳写真家…西田省三、ナビゲーターは吉岡里帆。

1.4
 ネットのニュースサイト「LITERA」が毎年恒例の「2018年安倍政権御用ジャーナリスト大賞」を発表した。ランクインした人は、テレビとネットの番組に出演しているジャーナリストが多い。異論があることを承知でランキングを紹介する。全員テレビ出演の露出度が高い。

1位・田崎史郎(政治ジャーナリスト)
2位・三浦瑠麗 (国際政治学者)
3位・松本人志(芸人) 
4位・八代英輝(弁護士) 
5位・小松靖(前AbemaTvのMC。現テレビ朝日ワイドスクランブルMC)
6位・立川志らく(落語家)
7位・岩田明子(NHK政治部記者、解説委員) 
8位・北村晴男(弁護士)

9位・野村修也(弁護士) 
10位・有働由美子(日本テレビ『news zero』キャスター)

(参考)2017年安倍政権御用記者ランキング
 
殿堂入り別格 山口敬之 1位田崎史郎 2位松本人志 3位長谷川幸洋 4位阿比留瑠偉 5位三浦瑠麗 6位有本香 7位須田慎一郎 8位岩田明子 9位高橋洋一 10位矢代英輝

 日本テレビは2日と3日の大学箱根駅伝の中継で過去最高の視聴率を記録した。平均視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)は往路が30.7%、復路が32.1%という驚異的な視聴率。日中、しかも約7時間平均の放送時間を考えると、この数字は最近では化け物だ。

1.5
 昨年10月に開場した豊洲市場(江東区)で5日、初となる新春恒例の「初競り」があり、青森県大間産のクロマグロ(278キロ)が1本3億3360万円、1キロあたり120万円で競り落とされた。記録が残る1999年以降の史上最高値を更新した。 競り落としたのは、すしチェーン「すしざんまい」を運営する「喜代村」。最後まで競りで張り合ったのは、すしチェーン「すし好」の依頼を受けた水産仲卸「やま幸」。
 テレビは早朝ニュースからこの最高値マグロで報道。午後になると、テレビは、「喜代村」の木村社長の解体ショーなどのパフォーマンスを繰り返し放送した。「すしざんまい」は、これで億単位の広告費を稼いだのではないか。
 このマグロを釣った漁師の受け取り分は、税金など差し引くと1億7800万円・・・スポーツ紙が報じた。

 東京新聞は5日朝刊1面左肩に「原発、国民反対なら無理 経団連会長 安倍政権との同調姿勢を転換」と報じた。同紙によると、これは経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)が年初の報道各社とのインタビューで語ったもの。中西会長は「東日本大震災から8年が経とうとしているが、東日本の原発は再稼働していない。国民が反対するものはつくれない」とエネルギー政策を再構築すべきとの考えを示した。
 ところが時事通信によると、中西会長は15日の会見で、原発について「再稼働をどんどんやるべきだ」と述べ、原発の新設や増設も認めるべきだとの認識を示した。東京新聞5日に「原発見直し発言」を報道されて、内部から猛反発があったのだろう。一転、勇ましい原発推進論を展開した。

 沖縄タイムスは5日、米国特約記者の平安名純代記者が「トランプ米政権がマティス前国防長官の後任に、ジム・ウェッブ元上院議員(72)の起用を検討していることが、3日までに分かった」と報じた。ウェッブは2011年、カール・レビン、ジョン・マケインの両重鎮議員らとともに、沖縄県名護市辺野古の新基地建設計画の見直しを当時の国防長官に要求するなど、在沖米軍の再編を積極的に働き掛けた。ウエッブが国防長官に起用された場合、新基地建設計画を再び見直す可能性もある。
 ウエッブの国防長官の可能性について、ワシントン発時事通信も同趣旨を報じ、毎日新聞5日朝刊は時事通信を引用し報じた。「もしこの人事が現実になれば、トランプ大統領が辺野古見直しに舵を切る可能性が一気に高まる」と報じた。

1.6
 6日の沖縄タイムスによると、5日、キャンプ・シュワブのゲート前で「辺野古埋め立て反対」の集会があり、主催者発表で千人が気勢を上げた。集会では辺野古埋め立ての一時停止をトランプ米大統領に求める請願活動を始めたロブ・カジワラ(32 )らハワイの沖縄県系人と市民がネットのテレビ電話を通してエールを交換。テント前に設置されたスクリーンに映ったカジワラの第一声は「しまくとぅば・・で」(島言葉・・で)。市民からは「沖縄のために頑張ってくれてありがとう」と拍手が起こった。

1.7
 毎日新聞は7日朝刊3面に「立憲民主党は憲法改正に関する国民投票の『スポットテレビCMの全面禁止』検討している」と報じた。同紙によると、立憲民主党は、国会が発議した憲法改正案への賛否を問う国民投票について、政党などが投票を働きかけるスポットCMの全面禁止を今後、衆参両院の憲法審査会で主張する。これまで日本民間放送連盟(民放連)による自主規制を支持してきたが、よりハードルを高めた。自民党は今月下旬に召集予定の通常国会で、国民投票法の改正を呼び水に改憲論議を進める構えだが、立憲は簡単には応じない方針だ。

 1月7日付の朝日新聞と読売新聞の見開き全ページに宝島社が度肝を抜く企業広告を掲載した。また同日付けの「日刊ゲンダイ」にも見開きで同広告が載った。読売と日刊ゲンダイに掲載された広告のコピーは「敵は嘘。」。「ローマの休日」にも使われた「真実の口」の写真と共に、次のような文章が掲載された。
「いろんな人がいろいろな嘘をついている。子供の頃から『嘘をつくな』と言われてきたのに嘘をついている。陰謀も隠蔽も改ざんも粉飾も、つまりは嘘。世界中にこれほど嘘が蔓延した時代があっただろうか。いい年をした大人が嘘をつき、謝罪して、居直って恥ずかしくないのか。この負の連鎖はきっと私たちをとんでもない場所へ連れてゆく。嘘に慣れるな、嘘を止めろ、今年、嘘をやっつけろ」。
 朝日新聞朝刊に掲載された広告のコピーは、「嘘つきは、戦争の始まり。」。湾岸戦争前、イラクが油田の油を海に流した証拠とされた石油まみれの真っ黒の水鳥の写真と共に、「しかしその真偽はいまだ定かではない」「今、人類が戦うべき相手は、原発よりウィルスより温暖化より、嘘である」などのメッセージが載った。
 宝島社では、“企業として社会に伝えたいメッセージ”として1998年から企業広告を開始。数々の広告賞を受賞している。9日掲載された朝日新聞の「朝日川柳」には、「見開きに決然勇気出版社」。「日本国紀」の売り込みで、全紙広告などを使って大宣伝している幻冬舎との違いをあらためて見た思い。

 朝日新聞は元日朝刊に続き、7日朝刊1面トップに「昭和天皇が和歌を推敲した」を掲載した。戦争に対する贖罪の気持ちや戦没者に対する慰霊の心情は読み取れるが、自らの戦争責任などについての記述は何も見られない。元日付け同紙の「昭和天皇の直筆発見」といい、7日紙面といい、総じて、朝日は昭和天皇に好意的なニュアンスを展開している。現天皇の退位とともに、昭和天皇の戦争責任はさらに遠くに押しやられていくような気がする。 

 時事通信によると、伝説的な英ロックバンド「クイーン」のギタリストで天文学者のブライアン・メイ(71)は日本時間7日未明、インターネット交流サイト(SNS)を通じ、名護市辺野古移設の工事中止を求め、ホワイトハウスの嘆願サイトでの署名を呼び掛けた。メイはツイッターなどで「沖縄のかけがえのないサンゴ礁の破壊を止めるために署名する最後のチャンスだ」と投稿。「米軍基地拡張により脅かされている美しいサンゴ礁とかけがえのない生態系を守るために署名を」と訴えた。
 
1.8
 ゴーン前会長の勾留理由を開示する手続きが8日午前、東京地裁であった。ゴーンが姿を見せるとあって傍聴希望者が殺到した。東京地裁の一般傍聴席は、記者席、大使館関係者席を除くと僅か14席。傍聴希望者は1122人にのぼり80倍。ゴーン前会長は、全面否認し、無罪を主張した。
昼のTBSニュースは、「ゴーン前会長は、腰縄をつけられ手錠、サンダル履きで入廷した」と速報。「ワイドスクランブル」(テレビ朝日)で、元検事の郷原信郎は「ゴーン前会長が逃走するわけはないのに腰縄、手錠姿が海外に流れることは、日本の司法の前近代性をさらにアピールするようなものだ」と批判した。NHKニュースは、腰縄、手錠姿はコメントしなかった。ゴーンは翌日9日、38度台後半の高熱をだし、接見や取り調べが中止された。

 読売新聞は8日朝刊1面トップに「日本政府は、北方4島に関する賠償などの請求権を互いに放棄するよう提起する方針を固めた」とショッキングに報じた。
 同紙は、複数の日露交渉筋が明らかにしたとして「この方針は、両国間の戦後処理を終わらせ、未来志向の関係を構築する狙いがある」と解説した。安倍首相は北方領土返還合意ではなく、日露平和条約締結合意を先行させて、国民の信を問うということのようだ。同紙によると、「日本人の元島民らには日本政府が補償する方向で検討している」という。安倍首相の魂胆が何となく見えてきた。

1.9
 琉球新報は9日社説で、「安倍晋三首相がNHK番組『日曜討論』(6日放送)で、米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の埋め立てについて『土砂投入に当たって、あそこのサンゴは移している』と、事実と異なる発言をした。一国の首相が自らフェイク(うそ)の発信者となることは許されない」と報じた。
 同社説によると、現在土砂が投入されている区域ではサンゴの移植は行われていない。埋め立て海域全体で約7万4千群体の移植が必要で、終わっているのは別の区域の9群体のみだ。他のサンゴ移植は沖縄県が許可していない。砂ごと生物を移す事業も実施していない。首相の発言は準備されていたはずである。簡単に確認でき、すぐに間違いと指摘されることを、なぜ堂々と言うのだろうか。県民の意向を無視し違法を重ねて強行している工事の実態から国民の目をそらすため、意図的に印象操作を図っているのではないか。
 安倍発言からすでに3日も経過しているが、辺野古沿岸のサンゴを移したことなど調査すればすぐわかることだろう。本土メディアの反応の鈍さが気になる。

 毎日新聞は9日社説に「ゴーン前会長が無実主張 検察が背負った重い課題」とタイトルを打ち、日本の司法について問題提起した。同社説は、「容疑者が否認している場合、起訴後も保釈させずに勾留を長引かせ、精神的に追いこむ手法を日本の司法当局は繰り返し行使してきた。検察は刑事責任の立証以外にもう一つ、ゴーン前会長の長期勾留に対する批判的な国際世論という重い課題を抱えている。 ゴーン前会長の勾留は50日に及んでいる。この間、日本の刑事手続きに対する批判が海外メディアで報じられた。中でも長期勾留の問題は、日本の刑事制度が抱える構造的な問題ととらえるべきだ。
 容疑者の取り調べに弁護士が立ち会えない問題もクローズアップされた。欧米の主要国では、不適切な取り調べをチェックする手段として実施している。刑事訴訟法の改正も視野に議論する段階に入っている」。

1.10
 韓国の文在寅大統領は10日、年頭記者会見した。NHKニュースによると、2時間にわたった記者会見では、文大統領が記者を指名し、日本記者では唯一人NHKの高野支局長が質問したが、大統領はこのあと「(NHKの)後ろの人を指名したつもりだったのに」と語った。高野支局長が質問しなければ日本問題については皆無だった。
 韓国大統領は「(徴用問題は)韓国政府が作り出した問題ではない。不幸な(日本統治の)歴史のために作られている問題だ。日本はより謙虚な姿勢であるべきだと思う。日本の政治家や指導者が政治争点化して問題をさらに論議の種に拡散してことは賢明な態度ではない・・・」 
 この日、安倍首相は欧州訪問中。安倍は同日中に反論会見などは何もしなかった。

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画をめぐり、安倍首相が「土砂投入にあたってあそこのサンゴは移している」と不正確な説明をしたと批判されている問題で、発言を放送したNHKは10日、「報道機関として自主的な編集判断に基づいて放送した」との見解を示した。(朝日デジタル) 
 この日の定例会見でNHKの山内昌彦・編成局計画管理部長は「報道機関として自主的な編集判断に基づいて放送しておりますので、必要に応じてきちんと判断して対応しているという風に考えております」と説明。「番組内での政治家の発言についてNHKとしてお答えする立場にはございません。事実と異なるかどうかという他社の報道についてもNHKとしてコメントする立場にはございません」とも述べた。
 BS-TBSの「報道1930」は10日の放送で、「保阪正康氏が語る『平成の終わりに・・・』を1時間30分放送した。皇室と政治を考える非常に中身の深いものだった。近現代史研究の第一人者、保阪正康は、作家の半藤一利とともにこれまで何度も天皇と面会し、一度会うと3時間雑談したこともあるという。保阪の著作に関しても関係者を通じて間接的にメッセージをもらったこともあるという。天皇とこれだけ通じている保阪だけに話の中に天皇が考えているであろうというヒントがいくつも示された。
 保阪がとくに批判したのは、自民党保守派が、11月3日の「文化の日」を「明治の日」に変える画策をしている動きだ。保阪は「(自民党保守派は)明治の歴史の捉え方が一面的だ。歴史の総体をみないのは歴史ではない。この動きは政治にしようとしている」と指摘。また、コメンテーターの堤伸輔は、「11月3日は憲法公布の日で、そのあとの時代を作った日でもある。それを押しのけて明治の一面だけを見ようとしている」と述べた。続いて番組は、2009年4月、結婚50年の記者会見で天皇がのべた現憲法擁護の発言を放送した。
 天皇・・「大日本帝国憲法下の天皇の在り方と日本国憲法下の在り方を比べれば、日本国憲法下の方が天皇の長い歴史で見た場合、伝統的な天皇の在り方に沿うものと思います」
 保阪正康の話を総合すると、天皇と安倍首相との距離は想像した以上に溝が深いということだ。

1.11
 韓国の文在寅大統領の記者会見について、全国紙は11日、一斉に社説を書いた。
「徴用工問題 文氏は判決を言い訳にするな」(読売)
「文大統領演説 余りに勝手な日本批判だ」(産経)
「日韓対立の影響を企業活動に広げるな」(日経)
「文大統領の徴用工発言 政治のリーダーが解決を」(毎日)
「徴用工問題 日韓で克服する努力を」(朝日))
 読売社説は、「国内の司法判断を理由に、国家間の取り決めに基づく義務を逃れることは許されない。韓国の文在寅大統領は、対日外交を安定化させる責任を放棄しているのではないか」と責任は韓国にあると厳しく指摘。産経は「主張」で、「何ら解決策を示さず責任を日本に転嫁した」と文大統領発言を猛批判した。読売、産経両紙とも日韓両国で話し合う余地などについては一言も無い。
 朝日社説では、「不幸な植民地支配の下で起きた問題だけに、双方が硬直した姿勢をとらず、歩み寄らねばならないのは当然だろう」と、日韓両国の双方に呼びかけたうえで、韓国側に対して「外交問題をこじらせない策を早期に出してもらいたい」と注文をつけた。
 一方、自民党は11日、外交部会・外交調査会の合同会議を開き、徴用工訴訟など日韓関係について議論した。この中で、出席議員からは日本政府に対し、対抗措置として、駐韓大使の召還や韓国人に対する就労ビザの制限、何らかの経済制裁などを求める強硬論が相次いだ。

 2020年の東京五輪・パラリンピックの招致活動に不正があった疑いがあるとして、フランス司法当局が、日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長(71)に対し贈賄容疑の捜査を始めたことが明らかになった。AFPなど仏メディアが11日、司法当局筋の話として報じた。一報が入ってきたのは11日夕、仏司法のシステムの詳細がわからないまま、一部民放テレビ局は「仏当局がJOC竹田会長を起訴」などのタイトルを打った局もあった。
 NHKニュースによると、仏司法当局は4年前から竹田会長を贈賄容疑の疑いで捜査しているが、竹田会長は「違法性は一切ない」としている。同日の「ニュースウオッチ9」で有馬キャスターは、「フランスの裁判所はどう対処するのか。また、どうしてこのタイミングなのかも気になります」とゴーン勾留との関連をにおわせた。また毎日新聞は12日朝刊で、「政府関係者は『竹田の捜査は2年も前からやっていたわけで、この期に及んでというのは(ゴーン事件の)意趣返しではないか』と推測している」と報じた。
 一方、竹田会長の息子の竹田恒泰はツイッターで「JOCの案件は、2年以上前から捜査されていて、結局、犯罪を証明するものはまだ何も出ていない。この時期にフランスがこれを蒸し返してきたことということは、ゴーン逮捕の報復と見るのが普通だろう」

1.12
 沖縄タイムスと琉球新報は12日朝刊1面に「玉城沖縄県知事は、不参加があっても辺野古埋め立ての賛否を問う県民投票を予定通り実施する方針」と報じた。

1.13
 「サンデーモーニング」(TBS)は13日の放送で、韓国大統領の記者会見を取り上げたが、岡本行夫、田中秀征、大宅映子らは声を合わせて韓国を批判。それに対して、目加田説子は、「この問題は日韓で時間をかけて話す必要がある。韓国の中央日報は『今の日韓対立は誰のための何のための対立なのだ』と社説で書いているが、そのとおりだと思う。日韓両政府が冷静になって話し合うべきだ」と語り、松原耕二も「レーダー照射問題も実務者よりも政治家同士が熱くなっている。出口を見つけるためには大局に立って政治家が頭を冷やすことしかない」と語った。

1.14
○共同通信全国電話世論調査(12、13日実施)

安倍内閣支持率
  支持する   43.4%(前回調査比1ポイント増)
  支持しない  42.3%

厚労省の毎月勤労統計問題
  政府信用できない 78.8%
  納得できる     18.0%

 麻生太郎副総理兼財務相がまた新聞を批判した。時事通信によると、麻生は14日、福岡県直方市で講演し、4月の同県知事選に関連し「(県内で)伸びているのは福岡市だけ。行政としていかがなものか」と述べ、3選を目指す小川洋知事の県政運営に疑問を呈した。その上で「私の言っていることを新聞記者は(2016年の)衆院福岡6区(補選)の恨みつらみと書いている。その程度の分析力だ。そんな新聞にお金を払って読んでいる人の気が知れない」と述べた。

1.15
 2月24に実施される名護市辺野古の新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票は、沖縄、うるま、宜野湾、宮古島、石垣の5市長が不参加の方向だ。琉球新報15日の社説がこの背景を解説した。その一部。
 「参加を拒む市長は『チーム沖縄』のメンバーだ。翁長雄志前知事の誕生時から、辺野古新基地建設に反対する『オール沖縄』勢力に対抗してきた市長たちである。その観点から見ると、県民投票を政争の具にしている感もある。玉城県政の失点をつくり、足を引っ張る狙いが透けて見える。
 弁護士資格を持つ宮崎政久衆院議員(自民・比例区)が市町村議員に文書を配り、県民投票への反対を呼び掛けていたことが判明した。投票を実施させない、あの手この手を指南していた。全県実施を阻止することで県民投票の意義を損ねさせる政治的意図は明白だ。民主主義を否定する行為と言わざるを得ない。

 竹田恒和JOC会長は15日午前、東京都内で記者会見し、改めて身の潔白を主張した。しかし、仏の司法当局が捜査中であることを理由に質問を受け付けなかった。テレビとネットデジタルは記者会見を生中継したが、7分であっというまに終わった。朝日デジタルは、会見のあとの海外メディア記者のコメントを報じたが、いずれも「かえって疑惑深まった」と強い不満ばかり。「ニュース7」と「ニュースウオッチ9」(NHK)は、「会見打ち切りで批判噴出」とタイトルを打ち、竹田会長が質問を受けなかったことを批判的に伝えた。

○NHK全国電話世論調査(12~14日実施)

安倍内閣支持率   
  支持する  43%(前月調査比2ポイント増)
  支持しない 35%(前月調査比3ポイント減)

 会社法違反(特別背任)などで追起訴されたゴーン前会長について、東京地裁は15日、弁護側の保釈請求を却下する決定をした。勾留は2カ月におよび、さらに勾留は長期化の様相。海外メデイアの批判はさらに高まった。
 この決定を「当然だ」と述べたのは「報道ステーション」(テレビ朝日)に出演した元東京地検特捜部検事の高井康行(現弁護士)。ゴーン夫人が「自白を引きだすための『人質司法制度』と主張していることについて、高井は「夫人は日本の制度をよく知らない。もう少し勉強してからものを言え」と述べ、「取り調べに比重を置いた捜査は日本の刑法を変えない限り変わらない」と突っぱねた。さらに「ゴーンの勾留は梅雨頃まで続くだろう」とも述べた。これまでテレビでの高井康行の言動を認識していればこんなコメントを言うのはわかっていたはず。一方的に検察側の論理を強弁した後味悪い放送だった。