志村一隆
MWCでNetflixのReed Hastings CEOが講演をしていた。概要は下記の通り。
- ビンジウォッチング(連続ドラマの一気視聴)は本来人間の生理に合わせた視聴習慣である。
- インターネットTVは発展を続ける。
CESなど世界中のカンファレンスで引っ張りだこの同氏だが、基本的に話す内容はこの2点。「コンテンツ制作に投資し続ける」ことがNetflixの現在の戦略である。それは、四半期ごとのIRディスカッションでも一緒だ。
ちょっと遅れたが、2016年第4四半期の業績についてもまとめておこう。今回は、日本についての言及はなし。アジアについても「アジア地域への参入はまだ始まったばかり」くらいしか言及はなかった。(続く”スペイン旅情最終回“)
IR発表会でのメモ
- コンテンツと参入地域によって加入者増と売上は短期的に左右されるが、長期的視点に立てば堅実に成長している。
- 米国市場で利益を伸ばせば、長期的に海外市場の損失を減らせると考えている。
- 好きな作品が一つだけでNetflixに加入する人は稀だ。ただ、その作品の噂を色々なところで聞いたりするうちに加入したくなるのだろう。つまり、色々な要素が積み重なって(cumulative effect)加入する。
- 今年はシーズン2のオリジナルドラマが多かった。シーズン1より知名度があるので、そうしたシーズン2や3のドラマは加入増に繋がる。
- 2016年は値上げなどカスタマー施策を変化させた。その結果、加入数などに変化があったが、一度やめた人がまた加入するケースが増えている。
- フランスやドイツ、南米など、参入するエリアは違ってもマーケティング戦略は同じだ。
- テレビで検索されるドラマの半分はNetflixオリジナルの番組である。
- 米国内のNetflix加入数は現在5,000万件になった。ケーブルテレビや衛星放送加入数は1億件。Netflixが1億件になるかどうか?について、重要なポイントは、彼らはスポーツ中継というキラーコンテンツを持っている。Netflixはスポーツを扱うつもりはない。
- 各ジャンルへの投資割当は、コンテンツ:60億ドル(6,600億円)、テクノロジー関連:10億ドル(1,100億円)、運営費10億ドル(1,100億円)である。
2016年12月末時点での加入数
ストリーミング:8,909万件(前年同期1,825万件増)
米国:4,791万件(前年同期110%)、海外4,119万件(同150%)
DVDレンタル(米国のみ):403万件(同84%)
2016年度業績
売上:88.3億ドル(9,713億円、前年130%)
営業利益:3.80億ドル(418億円、同124%)
純利益:1.86億ドル(205億円、同152%)