志村一隆
MWC上海でVR関連のセッションがあったので、ここにメモしておこう。いちばん面白かったのは、HTC VIVE Alvine Wang氏の講演。
1)All reality is virtual
<全てはバーチャルである>
テレビや写真が出て来てから、この「リアル」と「バーチャル」は色々議論されてきた。「テレビの生中継は、テレビのリアルである」とか「写真は一部を切り取ったものだ」とか。作家性、主観と客観、複製などなど。その辺をこねくり回せるのが、アートやメディア論の面白さである。フェイクニュースをオルタナティブファクトと言い張るのも、ある意味現代アートの方法論と言おうと思えば言える。
けれど、いままでは、メディア=バーチャルがリアルをどう切り取るかが論点だったと思う。ところが、このセッションは、すべてのリアルはバーチャルだと言い切っている。主客転倒というか。VR世代はそんな風に感じるのかもしれない。
先日、とあるWebサイトを読んでいたら、VRを「実質現実」と訳していた。VRは「Virtual Reality」で、Virtualの部分を「実質」でなく「仮想現実」と訳すのが通例だと思うが、訳者の実感では「仮想現実」ではなく、「実質」だったのだろう。
2)VR ファースト
VR世代は、どんな環境でモノを考えるのか? リソースは無制限、距離も関係ない。時間も豊富。衝突は不要に。お金はいまより価値がなくなる。知性が新しい通貨になる。
3)Screen Evolution
<スクリーンの発展>
VRは「スクリーン」の終わりの始まりらしい。
スクリーンと受け手との距離を比較して「テレビは3メートル、パソコンは30センチ」と言われたことがあったけど、VRはコンテンツ=スクリーンとの距離がゼロになる。近未来は、スクリーンを見る=メディアって概念が薄れていくらしい。
けれど、VRで終わりでなく、その次はメガネやコンタクトレンズをつけると、リアルな空間にテレビや新聞が浮かんで見えることになるらしい。
4)Future Disrupted
<未来はどうなるのか?>
子どもたちは、もっと賢くなる。仕事はもっと効率的。どこでも住む場所を選べる。誰もが幸せで健康である。人類が使うリソースは減る。
子どもがより賢くなる。今までの教育法や子どもらしさ?みたいな感覚も変わりそう。それが、またオトナの考える子ども像を押し付けるナという議論がもっと生まれそうな気がする。いまは、新しい技術がいくつも生まれる時代だから、世代間ギャップは当面埋まらないんだろう。
5)Technology
未来の技術9つ。ロボット、ブロックチェーン、バイオ、高速ネットワーク、VR、人工知能、気候変動。
6)VIVE VR エコシステム
一年前に比べ、かなり参加企業が増えている。