関口 宏
2018年の幕開け。
この「独立メディア塾」は5年目を迎えました。
スタート時、「3年続けば・・・・・」と君和田塾長と話していたのですが、ここまで支援してくださった方々に感謝しつつ、今年も頑張らねばと意を新たにしています。
どうぞ今年もご指導・ご鞭撻、よろしくお願いいたします。
さて新しい年が始まったのですから、何か希望の持てる話題をと思いを巡らすのですが・・・・・平昌オリンピック、サッカーWカップ等の楽しみはあるものの、やはり世界を揺るがし続ける問題に神経が取られてしまいます。
そのトップは何と言っても「トランプ体制」が世界に与える影響。
「アメリカ・フアースト」を宣言して内向き姿勢を強化。そこに突きつけられた「北朝鮮問題」。
またエルサレムをイスラエルの首都と認める発言から、それでなくても権力構造が複雑な「中東」を一層複雑化させたばかりか、世界中をも混乱に巻き込んでいる現状。
この状態が長く続けば「覇権国・アメリカ」の威信はさらに落ち込むことになるでしょうし、そのアメリカと同盟関係にある我が日本にも、様々な影響が出てくることが心配されます。
また、そんなアメリカを尻目に虎視眈々と権力誇示を狙う中国・ロシア。
さらにはEU離脱のイギリス、カタルーニャ独立に悩むスペイン。
そしてあのメルケルさんがピンチに追い込まれているドイツをはじめとするヨーロッパの右傾化等々、心配の種は尽きません。
そんな世界情勢を見渡しながら、ふと立ち止まりました。
「我が日本は何をしているのだろう?」
そうなのです。揺らぎ続ける世界の中に「日本」の存在感が見えないのです。
それでなくても、アメリカの影に隠れているかのような印象を与えていると言われる我が日本。活躍の痕跡が見当たりません。
昨年も折角のチャンスを逃した場面がありました。
世界122の国と地域が賛成した国連の「核兵器禁止条約」に参加しなかった日本。世界唯一の戦争被爆国でありながら「なぜ?」と首をかしげた国は少な
くなかったようです。
日本政府はこれに対し、「核保有国と非保有国の橋渡しをする」ことを名目に「核兵器廃絶に向けた決議案」を提出してはいるものの、世界の受け止め方は芳しくありません。
しかも昨年のノーベル平和賞が「核兵器禁止条約」の採択に貢献した国際NGO・ICANが受賞したことは、日本にとって皮肉な結果となりました。
この一件が示す通り、同盟国アメリカを、それこそ「忖度」し続ける日本の姿勢からは強い存在感は生まれないと世界は見ているようです。
(ただ一つ、トランプ氏の「エルサレム首都発言」撤回を求める国連決議案では、日本はアメリカに同調しなかった場面もあるにはあったのですが、それは「中東」との複雑な経緯から、苦渋の選択をした結果でした。)
同盟が悪いわけでも、仲良しの友人であることにも異議はありません。
しかし真の友人であるならば、「自らの主張をハッキリ述べ」「本当のことを言い合える」、時には「相手の行き過ぎを諌める」仲であって欲しいと思うのです。
そんな想いの中で新年の希望を、『日本の外交』に託することにしました。
長い歴史と経験から育まれた独自の文化を持つ我が日本。
今年こそ、その『独自外交』の登場を願っています。
テレビ屋 関口 宏