スマホとの向き合い方

Namika Wada

Namika Wada

和田 奈美佳

 突然ですが、皆さんにとって「スマホ」はどのような存在ですか?
わたしにとってスマホは毎日手放すことのできない重要なアイテムです。

 一日の予定を書くとより明確に分かります。

(朝)スマホの目覚ましをかけて起きる。
(日中)移動中はスマホを見て暇つぶしをする。
(夜)スマホで明日の連絡をマネージャーと取る。
(就寝前)スマホの目覚ましをセットして寝る。

 これを見ても分かる通り、私にとってもはや手放すことができないものなのです。それなのに、先日スマホを仕事先に忘れてくるハプニングがありました。速達で送ってもらっても到着するのは翌日のお昼。その日は早朝から仕事だったので一日スマホなしで生活しなければいけなくなりました。今まで考えたこともありませんでしたが、スマホがないと不便なことだらけです。それは目覚ましとかマネージャーとの連絡といったことだけではありません。

 ①  まず、調べものが出来ない。
これまでは、わからないことがあるとスマホの検索ワードに入力して調べていましたが、わざわざパソコンを立ちあげないと見られません。

 ② 連絡が取れない
わたしは普段、無料アプリのLINEやFacebook、メールを使って色んな方とやり取りをしていますが、スマホが無ければ連絡も取れません。ではメールが出来ないなら電話をしよう!と思い、いざボタンを押そうとしても…

 ③ 電話番号と名前が分からない
これは、一番の致命傷です。余談ですが私はマネージャーの電話番号すら覚えていませんでした。幼い頃は固定電話が主流だったので、友達の名前や電話番号は頭の中に入っていましたが、今はせいぜい実家と自分の携帯番号くらいです。ちなみに、「アドレス帳を見なくても覚えている電話番号の数」という題材で2013年にマイナビウーマンで調査が行われたのですが、一位は「2件」二位は「1件」三位は「0件」と、もはや片手で収まるほどの電話番号すら頭の中に入っていないということが分かりました。私たちが普段の生活の中でいかにスマホに頼っているのか、いや依存しているのか、というのが分かります。

 

「スマホがあればできないことは無い」

 

 では、どうしてそこまで「スマホ」に夢中になってしまうのでしょうか?

 一つは、スマホで出来る作業が多くなったことだと考えます。
 以前は折りたたみ式の携帯電話が主流で、画面も小さくインターネット接続やメールを送るのにも時間がかかりました。しかし、今は画面全体が大きく画質もクリアです。パソコンでしか操作が出来なかった容量のファイルも開け、スマホがあれば出来ないことはない!と言えるくらい様々な機能を持つようになりました。

 これはデータを見ても顕著に現れています。株式会社博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所が生活者のメディア接触の現状を調査・分析する「メディア定点調査2014」によりますと、生活者の一日あたりの接触時間は、スマホが74分、パソコンが69分と、パソコンを上回る結果となりました。それも10代20代の若い方だけではなく、今年度は30代の男性そして女性は30代~40代のミドル層までもがパソコンを上回る結果となったのです。一位は言うまでもなく「テレビで157分」でしたが、実は携帯やスマホのタブレット端末を操作しながらテレビを見る人は、6割を超えているというデータも出ています。テレビ番組を観ながらソーシャルメディアを使って友達とやり取りをしたり、書き込みを読んだり書いたり。ソーシャルメディアの利用が日常化している今、テレビの接触時間をスマホが抜く日も近い気がしますね。

 

4億人を超えたLINE

 

 そして二つ目が「ソーシャルメディア」の急速な普及だと考えます。

 さきほど私も使用していると書きましたが、情報交換を無料で行えるLINEやTwitter、Facebookやブログなど、友達だけではなくネット上で色々な方と意見交換が簡単にできる時代になりました。特に今、目覚しい成長を遂げているLINEですが、2014年4月1日の時点で利用者数が4億人突破、現在は4億2千万人のユーザーに利用されているそうです。それも、東南アジアやスペインなどユーザー数が多い国や地域に加えて、南米における現地企業との共同マーケティングや、スタンプの開発、CM放映でさらに新規ユーザーが増える仕組みを編み出し、その結果利用者が増えグローバル化するまでとなりました。

 「早い・安い・便利」夢のような話を実現してくれた、スマホに代表されるソーシャルメディア。ここまで見ると利点ばかりのように感じますが、本当に良いことばかりでしょうか?

 私が身を持って感じていることですが、昔に比べて考える時間や想像する時間が格段に少なくなったように感じます。さきほども書きましたが、昔は友達の名前や電話番号は当たり前のように覚えていました。電話の場合は相手の声色を聴いて、どんな表情なのか、どんな仕草をしているのか、そういうことを考えながら話しをしていました。でも今はソーシャルメディアが発達し、わざわざ電話をしなくても文字を打てばすぐに返信が返ってきます。相手の気持ちを考える間もないテンポでやりとりが出来るようになったのです。

 またインターネット環境が充実しスマホで操作ができる幅が広がったことで、
新聞を読むことや分からないワードを辞書で調べる習慣もなくなりました。なぜならインターネットの方が、簡潔に物事が書かれているので見出しを見ただけでだいたいの内容を把握できますし、自分の見たい項目だけを選べるからです。

 

「し過ぎ」をやめて、考えよう

 

 意見は十人十色考え方も多々あると思いますが、最近「若者に自己主張出来ない人が多くなった」と言われてしまう原因は、普段の生活の中で「考えること」をしなくなったからだと思います。私自身もその予備軍であることは自覚していますが、先日仕事先で「この間のセミナーどうだった?」と聞かれた時「勉強になりました!」とインターネットの見出しのごとく、簡潔に答えてしまいました。

 では、普段の生活の中で「スマホ」とどう向き合っていくのか。

 思考する能力が欠落しない方法として「しすぎない」ことが大事だと考えます。「LINEをしすぎない」「Twitterをしすぎない」など、今までの日常から少し遠ざかってみる。すると、空いている時間に物事を考えたり目の前にある本や新聞に手を伸ばしてみたり…そういう発想が新たに生まれるかもしれません。スマホは様々な可能性を秘めた道具ですが、便利なものに頼りすぎてしまうと、自分自身の意欲や思考がその道具に依存しすぎてしまうということを自覚しなければいけません。

 と、こんなことを書いている私も、れっきとしたスマホ依存者です。まずは移動中に「スマホをいじりすぎない」ところから改善していこうと思います。