バーチャルリアリティとテレビ、プロアマ

Kazu Shimura

Kazu Shimura

志村一隆

 CESでもバルセロナでもみたフランスはGiroptic社の360度カム。同社のセリーヌ・カステックス(Celine Castex)氏が来日してたので改めて話しをきいた。

 まず、360度カムというのは、上下左右360度全てを一度に撮影(動画も写真も)できるカメラ。こうしたカメラで撮影された映像は、とにかく百聞は一見に如ずで、実際見ると衝撃的である。

Celine Castex氏

Celine Castex氏

 ただ、360度風景を収めるとなると、レンズが何個も必要で、それだけカメラが高価になったり、形状がグロテスクになる。たとえば、ノキアが出してるカメラ、約600万円。GoProのカメラ15台使うOdyssayは約16万円。GoProの廉価版360度カメラは、やっつけ感満載。そしてカメラを何台も使うのでデータ量が莫大になる。1台1台が撮った映像をつなぎ合わせる編集作業が大変。。。その編集作業が必要なので、生中継が難しい。

 Giroptic社の360カムは、この辺りの課題をクリアしている。レンズが3つだけなので、とても小さくカワユイ。ミソは編集機能も内臓している点。なので、あとの手間が省け、ライブストリーミングが可能となる。かなりな進化だ。スポーツ中継とか面白そう。

Giroptic社の360カム

Giroptic社の360カム

 また、防水機能もあるから、水中の360度映像も撮れる。そんな映像、特別なプラネタリウム的なものでしか体験したことないが、それが自分で撮れてしまう。そこまで凝った映像が欲しいわけではない一般ユーザーにとって、楽しいカメラ。

 

安価な制作機器とプロ

 

 360度カムはGiroptic社だけでなく、他にも多くの企業が開発している。RICOHのTHEATAとか。それに中国メーカーなどなど。ともかく、VRコンテンツの制作機器がどんどん安くなっている。

 テレビ時代の映像市場は、機器の独占がプロの作り手を守っていた。放送用機器、たとえば高価な撮影カメラをアマチュアが持つことはなかった。高い機器を使えるかどうかでプロとアマチュアが共存できていた。しかし、安価なカメラが一気に出てくるVR映像時代はそんな線引きはなくなる。

 

ネット時代のモノ・メディア

 

 「インターネットで世界中に情報がアッという間に広まる」なんてことがよく言われる。自分もそう思うが、7-8年前(スマートテレビの頃)はそれでもまだ国境を越えるのに少し時間がかかっていた。それに、業界のリーダー的存在がいて、情報の発信源は少数だった。情報が伝わる時間は短縮されたが、世間に広まる情報経路は、昔と同じだった。

 いまやそんなものは存在しない。アッという間に色々なメーカーやベンチャー企業が出てくる。とくに、ドローンやVR市場の動きを見ていると、それを実感する。スマートテレビはIT企業が仕掛け、スマートフォン市場にはアップルがいた。しかし、ドローンやVR市場にはそんな中心的存在がいない。(参考:『戯れるドローン -CES2016 』『ハマる仮想現実 -CES2016』)

 大げさに言うなら、インターネットの役割が代替から新たなモノを生み出すステージに入っている気がする。これからが本当の混沌の時代。メディアも、そろそろそうした新たな動きをする時期なんだろう。新聞のネット版とか、テレビのネット版という考えから離れた、全く新しいメディアのカタチ。プロとアマの線引き、一気に広がる情報などなど。キーワードはたくさん出てきている。(参考:ミッキーとみんなの物語 -CES2016

(参考)
Giroptic社は2008年創業。もともと不動産業向けにビジネスしていたが、マーケットを変え、Kickstarterで140万ドル(2.3億円)、ほかにシードマネーとして450万ドル(5.2億円)この製品を開発した。日本では4月25日からプリオーダー分を出荷、その後量産体制に入るという。現在、日本での販売網構築のためパートナーを募集している。

ちなみに、彼女は日本人とカメラとの結びつきの強さを感じてるらしいです。