新年メディア日記(2019年1月16日〜31日)放送記者出身者

1.16
 高知新聞は16日朝刊に同社が実施した県政世論調査で、「安倍内閣の支持率は26.8%となり、2012年12月の第2次政権発足以降の県内調査で初めて30%を割り込んだ」と報じた。同調査は11月28日から12月7日に郵送方式で実施。同調査は1面に「県人口減対策」の調査、2面に安倍内閣の支持率が掲載された。
 記事によると、第2次安倍政権下で過去6回実施した県民向けの世論調査で支持率が最も低かったのは15年12月の38.9%。今回の不支持率は49.7%。森友学園を巡る財務省の決裁文書改ざんや、加計学園の獣医学部新設に関する問題に加え、働き方改革関連法、改正入管難民法の国会審議で関係する調査の誤りを指摘されながら、採決を強行したことなどが影響したとみられる。さらに今回は、自民支持者の支持率が15年12月の79.3%から56.8%へ22.5ポイントも下落。
 同紙は、「昨年9月の同党総裁選で、県関係のベテラン衆院議員らが前面に立って石破茂元幹事長を支援し、党員・党友票で安倍晋三首相に圧勝したことも関係していそうだ」と分析した。

 大相撲初場所で3連敗中の稀勢の里が引退を決意。16日朝、師匠の田子ノ浦親方が明らかにした。稀勢の里は夕方、日本相撲協会で記者会見し、正式に表明した。NHKを含め、新聞・テレビはトップ項目。
 しかし、テレビ朝日だけは記者会見の動画はなく、共同通信クレジット付きのコメントと静止画だけ。昨年、テレビ朝日が協会に無断で貴の花親方を出演させたとして、相撲協会のペナルティが依然続いている。翌17日のテレビ朝日のワイドショーもすべて動画なし。
 稀勢の里は、待望の日本人横綱として2017年に昇進したが、ケガ続きで、「無理に日本人横綱にしたのがいけなかった」とネットでは同情の声であふれた。横綱になってからの稀勢の里の成績は、36勝36負97休。この日、相撲協会の責任を追及する声は聞こえてこなかった。NHKを含め、ワイドショーやニュース番組のトーンは、「日本出身横綱が消滅」とか「19年ぶりに誕生した日本人横綱だけに惜しい」とか「日本人」を強調するトーンが目立った。扱いの落差にモンゴル勢力士が一番怒っているのではないか。

 第160回芥川賞と直木賞の選考会が東京で開かれ、直木賞に真藤順丈(本名・園田順三)の「宝島」が選ばれた。受賞作の「宝島」は、戦後、アメリカ占領下の沖縄で米軍から物資を強奪して暮らしていた「戦果アギヤー」と呼ばれる若者たちの視点で、昭和47年の本土復帰までの20年間を描く青春群像劇。
 父は旧社会党時代の「社会新報」編集長で、村山富市内閣の筆頭の総理秘書官だった園田原三。園田原三から届いた今年の賀状には「私どもの愚息が直木賞にノミネートされました。今や杖歩きの老両親にとっては確かな励みです。親馬鹿ぶりをお笑いの上、ご一読ください」とあった。
 真藤順丈は受賞後、26日付の琉球新報のインタビューで父親の実名等は明かさなかったが、「もともと沖縄については父親から聞かされていた。父親は沖縄にも足を運び、沖縄に関する記事をスクラップしていた。沖縄関連の書籍も身近にあった。沖縄の小説からも影響を受けた」と語っている。
 「順三さん!原三さん!おめでとう!」

 新聞労連は16日、平和・民主主義の確立や言論の自由に貢献した記事を表彰する第23回新聞労連ジャーナリズム大賞に、琉球新報による「沖縄県知事選に関する情報のファクトチェック報道」を選んだと発表した。人権を守り、報道への信頼増進に寄与する報道が対象の第13回疋田桂一郎賞には、毎日新聞新潟支局の南茂芽育記者、井口彩記者による「過労に倒れた難病の妹」をはじめとする新潟県庁での過労死を巡る一連の報道が選ばれた。労連ジャーナリズム優秀賞は長崎新聞の「カネミ油症50年」と、宮崎日日新聞の「自分らしく、生きる 宮崎から考えるLGBT」だった。(共同通信)

1.17
 タクシーに乗車した際の車載カメラの映像が民放各社に無断提供されて放映され、プライバシーを侵害されたとして、歌手のASKAがタクシー会社「三陽自動車交通」(東京)に1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(吉村真幸裁判長)は16日、同社に220万円の支払いを命じた。
 ASKAは2016年11月28日、都内でタクシーに乗って帰宅した後、覚醒剤取締法違反(使用)容疑で警視庁に逮捕されたが、同社は翌29日、ASKAが車内で運転手と話す様子が記録された映像を在京民放4社に提供し、各社が情報番組などで放映。ASKAは同年12月、不起訴(嫌疑不十分)となった。
 同社側は「社会的注目を集めた事件の容疑者の逮捕直前の映像で、報道機関に提供した行為には公益性がある」と主張したが、判決はプライバシー侵害を認め、「事件とタクシーに関係はなく、映像の提供に公益性はなかった」と指摘した。
 同日の朝日新聞メディア欄によると、民放2社は「映像報道には公益性がある」と朝日に回答したという。同記事では、日本テレビ出身の水島宏明・上智大教授は「公益性を否定した判決は厳しすぎる」としたが、元上智大教授の田島泰彦は「テレビは、報道することに公益性があるか慎重に検討すべきだった」とした。いずれにしても判決は、メディアに対して、「その映像を放送しなければいけない公益性を慎重にすべき」と求めたものと受け止めるべきだろう。

1.18
 沖縄県名護市辺野古の新基地建設の賛否を問う県民投票について、うるま市の島袋俊夫市長は18日、会見を開き、県民投票に参加しないことを正式に表明した。これにより、不参加を表明したのは宜野湾、宮古島、沖縄、石垣と合わせて5市となった。選挙人名簿登録者数では5市で全県の31.7%を占める。(琉球新報・沖縄タイムス)
 県民投票反対で反玉城知事の急先鋒、石垣市の中山義隆市長の17日ツイッター・・・・ 「沖縄タイムス、琉球新報…この沖縄2紙の偏向報道が続くのであれば、まともな県民投票は出来ません」。これに対するネトウヨの反応・・「よく言った!!頑張れ!応援してるわ 」「石垣島と沖縄本島って台湾と中国みたいな関係か」。

1.19
 昨今、いろいろ言われる鳩山由紀夫だが、19日、ネットで彼のツイッターがまた批判的に紹介された。
 鳩山「大学の同期会で、日韓関係が最悪になってきていることに対して、韓国人は日本人を下に見ているのではないかとの意見があった。私は逆に日本人が韓国人を上から目線で見ていることが問題と申し上げた。植民地時代で行ったことを未だに謝っていないのだ。お互いに冷静になれば解決できないことはない」。

1.20
 20日放送された「サンデーモーニング」(TBS)は、日韓問題を特集した。
青木理は「レーダーの問題と慰安婦・徴用工問題とは分けた方がいい。日本政府は1965年に解決済と言うが、個人の請求権は消えていないし、そもそも日本が酷いことをしたということを考えると、『もう少し謙虚になって欲しい』という文在寅大統領の言葉に一理はある。レーダー問題の韓国の弁明は不自然だが、韓国側から見ると、歴史問題の恨みこれで晴らそうとしている気配の動きもある。怖いのは相互にナショナリズムが高まることだ。これに煽られて、日本で嫌韓感情が定着するのが怖い」と述べた。
 一方、同番組のコメンテーター幸田真音は、「正月に海外で夫とゴルフをしたが、その時一緒したのが韓国の方だった。本当にいい方で凄く親切で優しかった。だから隣国同士で仲良くすることは大事だ」と述べた。
 ネットでの青木への嫌がらせが後を絶たないが、案の定、放送後、青木理のコメントに対して嫌韓ネトウヨの罵詈雑言があふれた。

1.21
 読売新聞は21日朝刊1面に「辺野古埋め立て予定区域で軟弱地盤があり、政府は、設計変更に着手する方針を固めた」とスクープ扱いで報じた。同紙によると、沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画を巡り、政府は今春にも、辺野古の埋め立て予定区域北東部の設計変更に着手する方針を固めた。軟弱地盤の改良が必要と判断したためで、年内にも変更を県に申請する。移設に反対する県は承認しない構えで、北東部での工事が遅れるのは必至だ。
 辺野古沿岸の軟弱地盤の存在については、雑誌「世界」が昨年8月号で「辺野古新基地はつくれない」と特集記事を組んでいる。それより前にも国会で共産党議員が問題提起している。政府が設計変更の動きを見せてからメディアはようやくその重大性に大騒ぎしている。

1.22
 岩屋防衛相は22日午前の閣議後の会見で「辺野古沿岸の軟弱地盤で設計変更を申請する考えを表明した。NHKは同日午後3時ニュースで、ようやく辺野古設計変更の可能性に触れ、同時に「移設阻止を訴える沖縄県が変更を承認する見通しは立っておらず、工期に影響がでる事態も予想される」と報じた。
 読売のスクープを受けた21日の各紙夕刊は、「さらなる工事の長期化は避けられない」(朝日)、「工期の遅れは必至だ」(毎日)など「工事が遅れる」と報じた。
TBSの報道によると、専門家は「軟弱地盤は設計変更で対応できるものではない。工事そのものを白紙に戻さなくてはならないほどの欠陥工事」という。メディアは設計変更でいずれも工事が「遅れる」とだけ報じているが、「工事は頓挫の可能性」などの表現はなかった。

1.23
 安倍・プーチン会談の共同記者発表が行われたのは23日未明。各紙朝刊最終版は、両首脳の発言がすべては入らないまま日本政府から事前に配布されたブリーフィング資料などをもとに見出しを打った。
 産経、読売、日経は、安倍首相の思惑を忖度したのか会談に前向きニュアンス。朝日、毎日、東京は、会談自体に懐疑的。
「日露首脳、平和条約前進で一致 領土『解決は可能』」(産経)
「平和条約交渉、本格化へ 数年で貿易1.5倍 日露首脳会談」(読売)
「平和条約交渉『さらに前進』」日ロ首脳会談」(日経)
「北方領土解決策 探り合い」(毎日)
「4島帰属言及せず 日ロ首脳会談」(東京)
「首相、実質2島に絞り交渉 領土進展示せず 日ロ首脳会談」(朝日)
 安倍・プーチンの共同記者発表では経済問題が主で、領土については一言も出なかった。23日朝のNHKニュースは、コメント内では「領土については一言も触れなかった」としたが、項目タイトルは、「平和条約交渉加速を確認」。

1.24
 勤労統計の不正問題は経済政策などの評価に影響を及ぼす可能性が出てきたが、政権は逃げの一手だ。朝日新聞は24日朝刊社説に「統計の正確性に対する認識があまりに軽く、組織としてのガバナンスも欠如しており、言語道断だ」と強調し、「勤労統計不正 幕引きは許されない」と見出しを立てた。
 朝日は「統計不正」について、もっとも精力的に報道している。1月22日から29日まで、27日をのぞいて、朝刊、夕刊の最終版は、いずれも1面トップか1面左肩扱い。
「統計は嘘をつかないが、嘘つきは統計を使う」という有名な言葉があるそうだ。現政権にぴったりの名言ではないか。

1.25
 沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設に伴う埋め立て賛否を問う県民投票(2月24日)が現行の賛否に「どちらでもない」を追加して3択で実施されることが確実になった。各紙が25日朝刊で報じた。全県投票を実現するための譲歩案であるという。辺野古埋め立てに反対する朝日、毎日、東京の各紙も3択による県民投票に前向きだ。

 米国に本社がある「BuzzFeed」の日本語版ウェブサイトは25日、24日夕方に放送されたフジテレビの報道番組「プライムニュース イブニング」で、一連の韓国問題について、韓国人の交渉術を解説した中で、「『レイシズム(人種差別)だ』と批判する声がネット上などで上がっている」と報じた。同サイトによると、キャスターの反町理が「韓国人の交渉術」というパネルを示して解説。反町は産経新聞のソウル駐在の黒田勝弘から聞いた内容と前置きし、「韓国人の交渉術」は「一つ、強い言葉で相手を威圧する。二つ、周囲にアピールして理解者を増やす。三つ、論点をずらして優位に立つ」と点をフリップに書いて説明した。

1.26
 英字紙ジャパンタイムズが慰安婦や韓国人元徴用工に関する呼称を変更したことについて、25日、韓国・KBSが「意味が歪曲される恐れがある」と指摘した。中国・韓国・東アジアのニュースを日本語で報じる「レコードチャイナ」が25日報じた。同サイトによると、ジャパンタイムズは昨年、韓国最高裁が日本企業に韓国人元徴用工への賠償を命じる判決を出した後、今後は徴用工問題で「forced labor(強制労働)」ではなく「wartime laborer(戦時中の労働者)」の表現を使うと発表した。また、慰安婦問題でも「comfort woman(慰安婦)」を「woman to provide sex to Japanese soldiers(日本の軍隊に性行為を提供する女性)」と表現するとした。
 これについて、韓国KBSは「慰安婦と強制徴用が日本軍により強制的に行われたという意味が省かれることになり、意味が歪曲される恐れがある」と指摘。また、一部から「日本政府がメディアに圧力をかけたのではないか」との疑惑が持ち上がっていることも紹介している。
 呼称変更について、昨年末、ジャパンタイムズの編集部で十数名の記者と同社幹部の間で激しい論争があったことを、25日のロイターが詳細に報じた。水野博泰取締役編集主幹は 「反日メディアであることのレッテルをはがしたい。経営陣として『アンチジャパン(反日)タイムズ』ではとても存続できない」と説明したのに対して、記者側からは「ジャーナリズムの自殺行為だ」、「ファクト(事実)が問題であって、リアクション(読者らの反応)が問題なのではない」などの批判が噴出したという。

 朝日新聞は26日朝刊社会面に小さくベタ記事で、「佐川氏ら不起訴 検察審が『相当』」と報じた。森友学園疑惑の隠ぺいのために公文書を改ざんした疑いで告訴されていた佐川元理財局長らが、東京地検によって不起訴になったのは昨年の8月。それを不服として一般国民が検察審査会に審査を求めていたが、検察審査会は「不起訴相当」の議決を11日に議決していた。同紙は議決から2週間も遅れて記事にしたが、スクープに変わりはない。国民の7割以上が納得していない森友学園疑惑について、検察審査会は、強制起訴どころか、不起訴相当という議決をしていたというのだ。
 検察審の結果を報じる朝日はなぜベタ記事と小さいのか。1面に大きく持ってくる意味があるはずだ。

 反戦を訴え続け、2016年8月に101歳で死去したジャーナリストむのたけじの精神を受け継ぐため創設された「むのたけじ地域・民衆ジャーナリズム賞」(略称・むのたけじ賞)の第1回受賞者が26日発表され、北陸朝日放送が制作したドキュメンタリー番組「言わねばならないこと―新聞人桐生悠々の警鐘―」が大賞に決まった。優秀賞には、河北新報社の佐藤昌明が執筆した「飯舘を掘る―天明の飢饉と福島原発」(現代書館)、特別賞には、地上配備型迎撃システムの配備問題に関する秋田魁新報社地上イージス問題取材班の報道が選ばれた。(共同通信)

1.27
 大坂なおみが26日夜、全豪テニスで初優勝した。世界ランキング1位が確定した。昨夜から27日朝刊までメディアはどこも大坂フイーバー一色。試合直後、安倍首相がツイッターで祝意を示したが、それをすぐリツイートしたのは百田尚樹。
 英の「BBC」デジタル版では、優勝インタビューで客席をいきなり笑いに包んだ第一声「えーと、ハロー!人前で話すことは本当に苦手なんです」を紹介した上で「彼女は偉大だ」と称賛。「これまでも天真爛漫な発言で観衆の笑顔と拍手を生んできたナオミ節が大一番で炸裂した」と称えた。

 朝日新聞は27日朝社説で「辺野古の海 直ちに埋め立てをやめよ」と書いた。辺野古の記録を歴史に刻むためにもこの社説は貴重だ。全文を末尾に転載する。

 ジャニーズの人気アイドルグループの「嵐」が、27日夕、電撃的に来年12月31日をもってグループの活動を休止するとネットで発表した。NHKの「ニュース7」はトップ項目。活動休止まであと2年近くあるというのにどのテレビも蜂の巣を突っついたような大騒ぎだ。

1.28
 毎日新聞は28日朝刊1面トップに、「米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設を巡り、海上警備を防衛省沖縄防衛局から委託されていた警備会社が、移設に反対する市民ら60人を顔写真付きで一覧表にしていた」と報じた。同紙は、「反対派リスト」を入手。家族の名前や所属政党を記されていた人もいて、プライバシーの侵害を指摘する声も出ている。リスト作成の経緯を文書にまとめた幹部社員は防衛局への提供は否定するものの、あいまいな説明を繰り返した。

 読売新聞28日朝刊は1面トップに「米国を狙った大陸間弾道ミサイル(ICBM)への迎撃態勢を強化するため、米政府が大型固定式レーダーの日本配備で協力を求める意向を持っていることがわかった」と報じた。同紙によると、米政府は近く日本政府に打診し、協議を始めたい考えだ。中国、ロシア、北朝鮮による対米攻撃を念頭に置いている。複数の日米関係筋が明らかにした。なんとなく安倍政権が読売に書かせたような気がしてならない。

○日本経済新聞全国世論調査(25~27日実施)
 安倍内閣支持率    
  支持する  53%(前回調査比6ポイント増)
  支持しない 37% (前回調査比7ポイント減)
○読売新聞全国世論調査(25~27日実施)
 安倍内閣支持率    
  支持する  49%(前回調査比2ポイント増)
  支持しない 38%(前回調査比5ポイント減)

 通常国会が28日、召集された。同日夕刊の多くは「安倍首相は施政方針演説で、厚労省の統計不正を陳謝した」が見出し。首相官邸は事前に演説全文をメデイアに配布しているが、辺野古移設については「これまでの20年以上に及ぶ沖縄県や市町村との対話の積み重ねの上に、辺野古移設を進め、世界で最も危険と言われる普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現する」とだけ述べ、形だけとはいえ昨年1月と10月の演説で述べた「沖縄の皆さんの気持ちに寄り添う」との表現はすっぽり消えた。琉球新報は29日社説で、安倍首相が「長いあいだ沖縄と対話してきた」と表現したことについて、「事情を知らない人はそう受け取るかもしれないが、実態は全く違う」と反論した。

1.29
 28日の安倍首相の施政方針演説で、安倍首相が昨年に続いてまたも“明治礼賛”を繰り返した。今回は明治天皇が詠んだ「しきしまの 大和心のをゝしさしさは ことある時ぞ あらはれにける」という短歌を引用した。
 この短歌について、共産党の志位和夫委員長は28日夕記者会見し「これは、明治天皇が日露戦争のさなかに詠まれ、戦意高揚のために使われた歌だ。日露戦争は、朝鮮半島の覇権をロシアと争った侵略戦争であり、この侵略戦争の戦意高揚のために使われた歌だ。これを自らの施政方針演説の中に位置づけたことは、日本国憲法の平和主義に真っ向から反するものだと強く抗議したい」と批判した。(29日しんぶん赤旗)
 他の野党は何の反応も示さなかった。メディアは、朝日が29日朝刊4面に「首相引用の和歌、『戦意高揚の歌』志位委員長が批判」とベタ記事で報じた。

1.30
 安倍首相は28日の施政方針演説で、「韓国」については一言しか触れなかった。時事通信によると、韓国メディア29日、一斉に「安倍首相は韓国問題をパッシングした」と報じた。
 急速に日韓関係が悪化する中、韓国駐在の長嶺大使が29日の自民党の会合で、「両国の関係は非常に厳しい局面にある」などと現状を述べた。30日のNHK朝ニュースによると、長嶺駐韓大使は、「徴用」をめぐる問題や、元慰安婦を支援する財団の解散問題などの現状を報告し、「未来志向に逆行する動きが続き、日韓関係は非常に厳しい局面にある」と述べた。出席した議員からは、「大使の召還は必須であり、断固たる姿勢を示すべきだ」「韓国が国際約束を守らない国だということを国際社会に訴えるべきだ」などと、政府に対抗措置をとるよう求める意見が相次いだ。

 日本経済新聞デジタル版は30日、日産ゴーン元会長に対して同社が30日午前、逮捕後メディアでは初のインタビューをしたと同日夕方に予告速報した。午後6時に日経電子版1面に大きく掲載した。同記事によると、インタビューは勾留先の東京拘置所で約20分間、英語で行われた。ルノー、日産、三菱自のアライアンスの将来については「推測を述べることはできない」と言及を控えた。健康状態を尋ねると「大丈夫だ」とし、現在の自らの状況について「人生山あり谷ありだ」と述べた。終始、疲労や動揺は見せなかった。
 共同通信は同日午後7時半、「日本経済新聞電子版は30日、日産自動車前会長カルロス・ゴーン被告が東京拘置所でインタビューに応じ、知人側への巨額送金に関し『必要な幹部がサインしている』と述べ、違法性を否定した。逮捕後、報道機関との面会は初めて」と短く報じた。

1.31
  日経新聞のゴーン前会長のインタビュー詳細が31日朝刊1面トップと3面に掲載された。インタビューしたのは、同社コメンテーター中山淳史ら3人。以下同記事の一部。
 「20分間の短い取材だった。黒のフリース、グレーのスエットパンツ姿で東京拘置所10階の面会室に現れたカルロス・ゴーン元会長は思った以上に元気そうで、精悍(せいかん)になった印象さえ感じさせた。『時間がない。始めよう』。アクリル板越しに取材が始まると、元会長はまくしたてるように話し始め、発言をメモする係官も手が追いつかない様子だった。15分の規定時間が近づくと『少し延長できないか』と係官に自ら直談判した。5分の延長が認められた。
 日本経済新聞社は昨年のゴーン元会長逮捕以降、正規のルートを通じて同氏への単独取材を要請してきた。承諾の知らせが来たのは今週だった。規定時間内に面会を終えられるよう、あらかじめ英文の質問書を送り、取材当日もすべて英語でやり取りした。
 日産子会社を通じてブラジルやレバノンに自宅用物件を購入したとの疑惑について質問が及んだ時、元会長は『私は弁護士ではない。問題があるのならなぜ(その時に日産の関係者が「会長、それはだめです」と)私に教えてくれなかったのか』と眉をつり上げながら反論していた」。

 同記事は、「『みなが知っていた』とすれば、日産の関係者にも不作為があった可能性がある。元会長による人事面での報復を恐れた。『会長だから仕方ない』との忖度が働いた――。理由は様々考えられるが、報酬などをめぐる問題がルノーでは起きず、日産だけで起きたことを考え合わせれば、日産のガバナンスが取締役会から執行の様々な層に至るまで、機能不全に陥っていたことは確かだろう」と解説した。

(朝日新聞社説=1月27日付)
 「沖縄辺野・辺野古で進む基地建設の前提が揺らぐ事態だ。直ちに埋め立て工事をやめ、県と真摯に話し合う。安倍政権がとるべき道はそれしかない。米軍普天間飛行場の移設予定海域で確認された軟弱地盤対策として、政府がいまの設計計画を変更する方針であることがわかった。このままでは地盤沈下の恐れがあり、基地は造れないと判断した模様だ。だが軟弱地盤問題は、県が昨年夏に埋め立て承認を撤回したときにあげた最大の理由の一つだ。
 「辺野古ノー」の圧倒的な民意をうけて当選した玉城デニー知事が変更を承認する可能性はない。さらなる混迷を避ける方策は、政府がこれまでの強硬姿勢を改めて出直すことだ。
 この間の政府の不誠実さには目にあまるものがあった。「マヨネーズ並み」といわれる地盤の存在は沖縄防衛当局による14~16年のボーリング調査で判明していた。ところが政府はこの事実を明らかにせず、県民らの情報公開請求を受けて、昨年3月にようやく開示した。それでも「他の調査結果を踏まえて総合的に強度を判断する」などと弁明し、特段の対策を講じないまま移設工事を続行。昨年12月には一部海域への土砂の投入に踏みきった。
 異論や疑問を力で抑え込み、既成事実を積み上げる。あるところまで進んでしまえば、埋め立てに反対する勢力もあきらめ、最後は屈服する。工費がいくら膨らんでも構わない。そんな思惑が明白だった。最近も県民を愚弄するような政権の振る舞いが続く。安倍首相はNHK番組で「土砂投入にあたり、あそこのサンゴは移している」と発言した。実際に移植したのは区域外のごく一部なのに、あたかも環境保全に万全を期しているように装う。首相がよく口にする「印象操作」に他ならない。
 設計変更の方針が報じられると、その日のうちに県に対し、3月下旬から新たな海域への土砂投入を始めると通知した。沖縄基地負担軽減担当でもある菅官房長官は会見で、軟弱地盤について「承知していない」と言い放ち、防衛省ともども表立った説明を拒み続ける。さらには、いま埋め立てに使っている土砂に、県条例が規制する赤土が混じっている疑いも浮上している。だが政府はこの疑念にも、正面から答えようとしない。
 国民に向き合う政治、まともな行政を取り戻さなければならない。この国の民主主義の地盤が溶けかかっている」。