「明けましておめでとうございます」
と当たり前なご挨拶を申し上げながらも、どうもスッキリしない年明けに感じている2016年であります。
それは世界中に広がるかのように見えるテロリズムの脅威が、大きな要因のひとつであることは間違いありません。
人々が恐怖に振り回されることが、テロリストにとっては思惑通りの成果、つまり世界を混乱に巻き込む事こそが彼らの狙いだと専門家に教わりましたが、すでに恐怖心は世界中に蔓延しているものと思われます。
(イランの国営ニュース会社「PRESS TV NEWS」の映像から)
※本文の内容と映像は関係しておりません
そして有志連合なる国々が、軍事行動に舵を切ったようですが、果たしてそれで問題解決となるのでしょうか。
「国」と称しながら「国」の形を持たない彼らは、危険を察知すれば、クモの子を散らすようにばらばらになって、また別の所に拠点を作るのでしょう。
そして何よりも、有志連合に爆撃された所で巻き添えにあう一般市民の恨みが、次なるテロリストを生む「恨みの連鎖」が起こることが心配されるのです。
しかし何もせず、手をこまねいている訳にも行かない有志連合の指導者達が、撲滅の確信なきままに軍事行動を始めた訳で、この結末は誰にも分かってはいないのでしょう。
言うなれば、「判断つかぬ闇」の中を、衝動的に突き進む世界に、我々は身を委ねざるを得なくなってしまったのです。
更には、自国にテロを呼び込まないようにとの意識が閉鎖的な方向へ向かい、自国を守ろうとするナショナリズムが強まる傾向も現れるでしょう。
実際、テロの被害を受けたフランスでは、極右政党の支持率が上がったといいます。
また各国が閉鎖的になり、ナショナリズムが高揚すれば、対テロとは無関係の事で、国と国の揉め事が噴出し、一触即発の危機に見舞われる事にもなりかねません。
暮れに起こったトルコとロシアの一件もその現れかと思われます。
テロばかりではありません。
(COP21公式YouTubeチャンネルより)
※本文の内容と映像は関係しておりません
環境問題、温暖化も待ったなしのところまで来ていると,警告が発せられています。
どうにか暮れには、パリ協定が結ばれましたが、詳しい人に聞けば、「やっと半歩動き始めた程度で、自国の利害が優先する考え方の延長線上には,根本的な解決策は出てこないだろう」とのこと。おそらく今年も、想定外の台風・竜巻、干魃・水害が極端な形で我々に襲いかかるのでしょうか。
世界は環境問題でも、いまだに「判断つかぬ闇」の中を突っ走っているかのようです。
この「判断つかぬ闇」。
これは、かつて人類が経験したことのない、とてつもない巨大な課題、つまり「未体験ゾーン」に入ったことを意味しているようで、ここをどう乗り越えて行くのか、世界のどこを探しても、それこそ正解を持つ人はいないのです。
このような状態を「カオス・混沌」と表現する人はいて、どうやらそれは宇宙摂理の一端であって、この世はそうは簡単には行かない、つまり、人間の知恵はまだまだ浅薄なのだと自覚しなければならないようです。
最近、私の周りでも不思議なことが時々起こります。
昨年、議論沸騰した安保法、そして憲法改正の延長線上の話なのですが、賛否両方の人間が集まり、次第に議論に熱がこもり出すと、訳が分からなくなる現象が起こるのです。
つまり革新を自負する人の意見が、よーく聞いてみると、古いものに囚われていたり、保守という人がこれ迄の何かを壊そうとしていたりで、結局は双方が譲り合わず物別れになるのです。
「これもまた、カオス・混沌か・・・・・」などと独り言をいっておりますが、本当の「カオス・混沌」とは、そんな簡単なものではないのでしょうね。
とにかく、人類「未体験ゾーン」に入った2016年。
目の前で起こる事をよーく凝視して、ひとつひとつ考えうるベストを模索して行くしかないと思っています。
今年もこの「独立メディア塾」、よろしくお付き合い下さい。
テレビ屋 関口 宏