SNS戦国時代に「飛び込ミスト」は考えた

K.Nakamura

中村 慧子(シニア野菜ソムリエ)

 Facebook、Instagram、twitter、Blog…etc

 SNSという武器を駆使し、個人がメディア化する時代。目的はそれぞれであるが、大半は「個人メディア」から「マスメディア」への出世を狙っている。Blog、Instagramから火が付き、芸能人ではなくても「雑誌・TV出演」「出版」ができる時代。そんなシンデレラストーリー、一攫千金を狙う者も少なくはない。心に潜む一握の「野心」が交錯する昨今。誰もがSNSで網をはり、自分の「可能性」を捕らえようとしている。一見、多くの人が「攻め」の姿勢であるように感じる。しかしながら、冷静に考えてみるとSNSで発信をして何かを「待つ」ということは紛れもなく「受け身」なのだ。何千何万という人々の中で同じ「発信」をしていれば、それは間違いなく「守り」である。

 

「いつもお世話になっています」

 この事実を認識した私は「発見」されることを諦め、メディアに「飛び込み営業」することを決意。自他ともに認める「ミニマリスト(必要最小限しか持たない生活)」ならぬ「飛び込ミスト」に転身。雑誌、TV出演を経て、著書『美女と野菜 ‟ずるいほど”簡単でおいしい綺麗な人の習慣』(日本文芸社)の「出版」を獲得したのである。

著書「美女と野菜」

著書「美女と野菜」

 メディアへの「飛び込み営業」のステップは至って簡単である。「いつもお世話になっております」という決め台詞から代表電話を突破して担当者へ繋いでもらいアポイントを取る。これはフォトグラファーの業界では珍しい話しではなく、「Bookの持ち込み」という飛び込み営業から多くの場合は仕事を得ている。私自身も「企画の持ち込み」と題して「飛び込み営業」を開始。最初の頃は要領を得なかったが、途中からすぐに掲載が決まることも多く、気が付けば飛び込み営業成功率は8割を超えた。

 飛び込み営業を経て感じたこと。それは、メディア人は常に「情報」を求めているということ。企画に合う人材を探していることが意外にも多いということだ。タイミングにもよるが、空いているスポットに当てはまればチャンスを掴むことができる。そう考えると「飛び込み営業=情報提供」ということになる。

 

網を張るだけでなく「飛び込む勇気」

 

 思えば私たち視聴者・読者はいつもメディアに面白さを求めてきた。「最近のTVは面白くない」とぼやく人も少なくはない。しかしながら、本当にそうだろうか?斬新なアイディアを特定の人が生み続けるのは難しい。「それが仕事でしょう」と言われてしまえば仕方ないが、時に素人のアイディアが優れていることもある。つまり、これからは視聴者側も積極的に歩み寄る時代となる必要がある。SNSで網をはるだけではなく、「飛び込む勇気」が面白い世界を創る可能性があるのだ。「デジタル」な時代だからこそ、あえて「アナログ」な手法で波風を立てるべきなのだ。

o0550056913554989045 また、メディア人にこそ「飛び込む勇気」を持って欲しいと思う。SNSからブームとなった「後追い」ではなく、メディア側から発見し、メディア側からブームを起こしてゆく。

 そんな「熱さ」と「衝動」を持って前へ前へと走ってもらいたいと思う。「個人メディア」に「マスメディア」が負けてはならないのだ。まだ誰も知り得ぬ、驚愕の情報を伝え「感動」を巻き起こすことがメディアの役割の一つなのだから。