志村一隆
Netflixの2016年7月-9月第三四半期の結果が発表されたので、ここにメモしておこう。会員は8,328万人。3ヶ月で438万人、1年で1,726万人増えた。この3ヶ月、米国市場は少し成長が緩やかなになってきたが、海外市場が急速に伸びた。また、四半期売上は2,404億円(22.9億ドル:1ドル=105円換算)。2四半期連続で20億ドル台だった。
Netflixが10年間成長し続けた結果、米国の有料放送市場はついに大きな変化が起きている。(参考:先日書いた「米国有料放送市場の動向」)ケーブルテレビや衛星放送といったプラットフォームレイヤで合従連衡が活発化し、総じて大型化している。
また、米国ケーブルテレビ最大手ComcastのSTB(セットトップボックス:ケーブルテレビを見るときにテレビにつける機械)にNetflixのアプリが提供される。すでに、英国ではVirginのSTBに提供されている。ちなみに、Virginはあのジョン・マローン先生率いるリバティメディアに買収されており、リバティオランダでもNetflixのアプリが提供される。
すでに、米国ケーブルテレビ最大手Comcastはテレビパッケージの会員数よりインターネット契約の会員数の方が多い。インターネットだけを申し込み、NetflixやHuluを別に申し込む人が多い為である。Netflixの登場で、回線とコンテンツを提供していたケーブルテレビビジネスが分離され、ケーブルテレビには、回線提供の役割だけが残ったのだ。
Netflixは人気コンテンツの配信だけでなく、60億ドルを投じるというオリジナルコンテンツが充実している。というか、人気ドラマや映画を見るために申し込むというより、Netflixコンテンツを見るために会員になるという世界観になってきている。そのオリジナルコンテンツは、2016年は600時間分だったが、2017年には1,000時間分まで増やすという。
以下、アナリスト報告会でのやり取りのメモ。
- ポーランドとトルコに進出。これで22言語。YouTubeは50言語で提供されている。
- 今のところ、視聴料を値上げするつもりはない。
- コンテンツのダウンロードについて:オープンに考えているが、今のところ報告できることは何もない。
- VPNについて:Netflixはディズニーの配信権を英国で保有できなかった。英国の会員がカナダにつないで観れるのはアンフェアであるから、対策をしている。
- パスワードシェアについて:今まで通り提供する。
- ディズニーのアイガーCEOは、OTTについて意欲的な気がする:特にコメントはない。コンテンツホルダーが、保有コンテンツをNetflixに売るのと、自社プラットフォームを立ち上げるのと、どちらが成長するか?正確な答えは今のところない。
- ベゾスがAmazon Videoはアマゾンの4つ目の大きなビジネスになると言っている。コンテンツのグローバル権利を持つ。そういうことにフォーカスしている。
- 日本とインドは他の地域や国よりもローカルコンテンツに力を入れている。
- NBCから新規人材をスカウトした。これはUnscriptedコンテンツの強化が目的か?:今後世界に成長していく為に、アンスクリプテッドなコンテンツが必要とされる。
(参考)