緊急コラム

H.Sekiguchi

H.Sekiguchi

 関口 宏

 只今、1月27日 午後11時50分。
 イスラム国に拘束されている後藤氏の最後通告ともとれる3回目のメッセージがネット上に公開され、沈痛な雰囲気の中、テレビが情報を追い求めています。

 毎月、このコラムを担当している私も、急遽、原稿を差し替えることにしました。

 ただ私は、専門家ではありませんので、お役にたつような情報は何も持っていないのですが、事件の重大性を受け止めながら、テレビに携わる者として、複雑な想いでテレビ画面を見つめています。

 それは・・・・・『速報性』

 情報を伝えるメディアとしては、この『速報性』が生命線とも言われていますが、どうやら今回の事件で,テレビはネットに敵わないという実態が鮮明になってしまったように思われるのです。

 勿論これまでにも、そうした指摘はありましたし、何が起こったのか,結果はどうだったのかというような、見出し的な情報は、ネットの方が早いと、誰しもが気づいていたのですが、日本政府はじめ、世界中が振り回された今回のネット情報によって,メディアの特性の、はっきりとした分岐点になったのではないでしょうか。

 しかし、ネット情報には危険な面も多く、「信憑性」については大きな課題を抱えています。

 今回の事件でも、そのことがネックとなって、政府も新聞もテレビも苦しめられています。
慎重になればなるほど時間がかかる、そしてその間、先走った人々による流言飛語が混乱をまき起こす。
 こうしたことが日常茶飯事になってしまったら・・・・・
 心配のタネは尽きません。

 それにしましても半世紀前、『速報性』において、新聞を凌駕したと言われたテレビが、ここにきてネットに抜きん出られたことは、テレビに携わる者として、忸怩たる想いにもなるのですが、テレビの特性は「確認・分析」とするなら、慌てる事はないと思いつつ、ネットの続報に目を凝らしています。

テレビ屋  関口 宏