スペインのエスプレッソ

毎朝通ったマドリッドのカフェ。オジサンとは最後まで打ち解けられなかった。。。

志村一隆

 バルセロナでもマドリッドでもよくカフェに入った。何しろ、交差点ごとにカフェがある。たいてい金属製のカウンターがあり、広いところはテーブルが少し置いてある。オジさんやオバさんが一人で来て去っていく。顔見知りしか来ないのか、会話はほとんど無い。お店に入っても、誰も相手にしてくれない。「いらっしゃいませ!」文化に慣れた身には辛い環境。

 マドリッドに着いて最初の朝に行ったカフェが、まさにそんな感じだった。カウンター越しに「コーヒー、ポルファボール」と言うと、早口で「ウィズミルク?アメリカーノ?」と尋ねられた(ように聞こえた)ので、思わず「ウィズミルク」と答えたら、エスプレッソのようなものが出て来た。

コーヒーウィズミルクとサンドイッチで3.5ユーロ。目の前でミルクを注がれる。

 それ以来、カフェに入ると、どこでも「コーヒー、ウィズミルク」で通した。英語は通用しないし、なぜか「ウィズミルク」と言うと、たいてい「了解」と言う顔をする(ように見える)。スペイン滞在中は、普段は飲んだこともないエスプレッソばかり何杯も飲んでいた。

 まわりもみんなエスプレッソばかり飲んでいる。値段がまた安い。観光地だと1.8ユーロ(220円)くらいしたが、住宅街のカフェでは1.2ユーロ(140円)だった。これにクロワッサンをつけると1.8ユーロ。とても美味しい。それと、マドリッドで食べられるイカのフライ(カラマリと言う)をパンに挟んだやつ。これも美味しい。

 このクロワッサンも曲者である。外来語も英語由来なのか、違う言葉なのか色々あるから「ぽく」誤魔化しても通用しないことがある。クロワッサンはフランス語だろうから、「クロワッサン、ポルファボール。クロワッシン?クガワソーン?」なんて言ってみる。が、全く通じないので、結局ケースの中のクロワッサンを指差す。「サンドイッチ」も通用しなかった。頼んでも、何か違う言葉を返される。店員は全くの無表情。慣れると、こちらも淡々と欲しいものを伝える表情を作れるようになる。

 最後にお会計。店員の話す言葉は全くわからないので、いつも2ユーロ出してお釣りを貰っていた。おそらくクロワッサンもサンドイッチも筆談すればコミュニケーションできたかもしれない。文字って素晴らしい。ということで、スペインのカフェは楽しかった。(続く

スペイン旅情その1はコチラ

マドリッドのソフィア美術館の裏。ここはフレンドリーだった。