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80代、新たな挑戦
「おかげ様とお互い様」の精神で 10/10

  松尾 英里子 / 白鳥 美子

 今年(令和5年)、学長を続けながら、秋草学園の理事長に就任した。理事長の仕事は、学校経営。80代にして、全く未知の領域へのチャレンジを始める。
 「巡りあわせで、頼まれた。頼まれたら『NO』と言えない性格なので…」
 経営の能力があるかどうかは、自分ではわからない。非常に難しいことだということはわかっている。それでも、「頼まれるのはありがたいことだ」と北野さんは覚悟を決めて引き受けた。教育というやりがいのある仕事の領域で、その一端を担えるポジションにいることに感謝と共に責任を感じている。
 「お引き受けした以上は、一生懸命やんなくちゃいけない」と、「誰よりも長く学校にいるのは私です」と笑うほどに、時間も情熱も注ぎ続けている。
 そんな北野さんと結婚以来ずっと歩みを共にしてきた奥様は、「またしばらく一緒に旅行ができなくなった」とがっかりしているという。「仕事を離れて時間ができたら飛鳥で船旅をなんて考えていたみたいです」――しばらくは、お預けになってしまうが「亭主、元気で留守なんだから、最良でしょう」と笑い飛ばす北野さん。


 これまでの人生を振り返って、しみじみと大事なことだと感じているのは、「おかげ様」と「お互い様」の心だという。大学の卒業式など、事あるごとに若い世代にも伝えている。
「世の中が、だんだんギスギスしているからこそ、『おかげ様』という感謝の気持ち、『お互い様』だよ、と他者を赦す気持ちは忘れたくないですね」








※インタビュアー 左:松尾英里子  中央:北野大さん  右:白鳥美子(インタビューを終えて)




■北野大(きたの・まさる)さん プロフィール
秋草学園短期大学 学長・理事長 / 工学博士

明治大学工学部卒業後、1972年に東京都立大学大学院工学研究科工業化学専攻博士課程修了。
分析化学で博士号を取得。
(財)化学品検査協会(現:化学物質評価研究機構)企画管理部長から淑徳大学国際コミュニケーション学部教授を経て、明治大学理工学部応用化学科教授、
2013年4月より現職。
経済産業省・化学物質審議会委員、環境省・中央環境審議会委員、残留性有機汚染物質(POPs)に関するストックホルム条約専門委員などを歴任。
2004年日本分析化学会・技術功績賞受賞。 2006年環境科学会・学会賞受賞。
タレント・ビートたけし氏(映画監督・北野武氏)の実兄。


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